ひつじかい♀のらくがき帳

一端のママ医者が人生楽しむ雑記ブログ

★映画レビュー『PK』ネタバレあり

有言実行、映画みました。勉強ry・・

 

引き続き、われらがアーミル様の代表作『PK』

 

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PKとは酔っ払いの意味らしい

適当な簡略あらすじ

→宇宙人の男が地球にやってきて、ひょんなことから星へ帰れなくなってしまう。テレビ局員のヒロインと出会い、なぜか宗教の問題と戦いながら2人で力を合わせてなんとか星に帰ろうする話。

 

それでは、ここから下は感想(ネタバレあり)

 

 

 

 

 

 

 

 

総評:シュールコメディの路線をいきつつ、その裏に「宗教とは?」「神とは?」などと戦争やテロリズムの問題まで絡めて深いところをついてくる社会派コメディ!期待を裏切らない圧倒的面白さ!!

 

派手派手にすると変に照れる。

また昨日の形式で箇条書き。

 

・PKが変人すぎる。そのへんにいたら絶対関わっちゃいけない人。目がいっちゃってるし、肩や手を振らない歩き方も不気味。『Dangal』のカッチョイイ!レスラーのアーミル・カーンと全然別人。ただしPKがキテレツヘンテコなことでアーミル様のお顔のきれいさが際立つ。笑 アーミルはこういう超人的なキャラクターが本当によくマッチする真のスーパースター。

・インドは多宗教。ヒンドゥーイスラム、キリスト、シク、ジャイナ、といろんな対比が出てくる。エキストラたくさん参加してるんだろうけど、その衣装や色彩を如実に表現していて映画の美術として見事。宗教や信仰の違いをまるで理解していないPKが次々と宗教的タブーを踏んでくシーンは痛快wそして失笑。ヒンドゥー教でわかったつもりで、キリスト教の教会に「裸足で」乗り込んで木の実をささげたり。信者たちに追いかけまわされるPK。

導師様のうさんくささがまたいい味を出している。いかにもいそうなオッサン。そこにさながら「一休さん」のとんちのごとく対抗するPK、ある意味賢い。

・地球に居場所がなくて、遺跡でポツンと体育座りしているPK萌え。生のニンジンポリポリかじってるの可愛い。笑

・ところどころに出てくる下ネタがクスクス笑える。思わずストックしてしまった。まず、宇宙人PKがフルチ・・全裸で登場する。アーミル様のお裸、特に大胸筋と三角筋、たまりません。踊る車カップルが車内プレイ)登場しすぎww 楽器団の兄貴(←いい人)にPKが「おまえ女も知らねえのかよ・・」と男として心配され、ピンクの風俗に連れていかれたり。しかしPKはお手手をつないでくれる人を探し求めてたから、違う意味で願ったりかなったりで。あと、PKがコンドーム(=局長いわば人口抑制道具を知らなくて、「これ落としましたよ」っておじさんに渡しちゃって、おじさんアタフタ。インド映画って意外とお下劣ネタはさんでくるよね。

・正直、前半はPKのギクシャクした感じがグダグダに思えたけど、後半の展開は見事。序盤のなんちゃってSF風マヌケなくだらなさが、後半の社会派シリアスな世界観を際立たせる。どんどんスケールが大きくなっていくインド映画のわくわく感が好き。

・PKとヒロインのダンスシーン。ヒロインの女優さんのスタイルの良さのせいで、アーミルのミニマムサイズ感が際立つ。だがそれがいい。かわいい。幸せなラブコメタイム。♪ I love this waste of time~♪

・電車でテロが起こるときの急展開は、『きっと、うまくいく』の学友が自殺しちゃったトラウマなシーンを思い出した。インド映画、いつもビックリするんだよなあ・・・。

・山場のPK vs 導師様のシーン。あまりに心に響いたのでメモとりながら視聴した。脚本がそれこそ神様。

『神様を信じると既往が湧くと僕も認めるよ。困難と戦う勇気と力をもらえる。問題が1つ。どの神様を信じるか。神様は1つだと言うけど違うんだ。神様は2つ。我々の創造主と、あなたが作った神様だ』

『”神を守る”と人間が言ったせいで兄貴は死んだ。靴だけが残った。神を守るのはよせ。でないとこの世は靴しか残らない』

『誰がどの宗教か印でもあるのか?違いを作ったのは人間だ。これが地球で一番危険な”かけ間違い”だ

PKは宇宙人で、地球人の文化や思想をまるで知らない、真っ白な心の持ち主。言葉を持たず、嘘も言わない。いわば「赤ちゃんのような存在」なんだと感じた。わたしたちだって、生まれたてのときは宗教なんてものはなかったけど、育ってきた環境でいつの間にかそれが体に染みついている。宗教だけじゃなくて、ほかの習慣や文化も全部、当たり前と思って生活しているけど、PK=赤ちゃんにとっては矛盾だらけの世界だったりする。金持ちが貧乏な人から金を搾取する世界。外見だけでその人の考えを判断する世界。大人たちは気づいていないフリをするけど、赤ちゃんのPKはその矛盾を鋭く指摘する。この映画が秀逸なのは、信仰を「導師と神の電話」に例えているところ。導師様が間違った教えを受け取ることを「かけ間違い」と表現し、聞くものの心を揺れ動かす。

・最初に出てきたパキスタンの彼氏は物語の大半で忘れられてるんだけど、最後のクライマックスでようやく伏線回収される。結婚式すっぽかされたのは実は重大なミスリード。イケメン彼氏は裏切ってなんかいなかった。「本当のかけ間違い」という言葉遊びがあっぱれ。本物の愛。キューピッドPK。可哀そ可愛い。いい子。ジャグーちゃんは彼氏とお父さんと仲直りできて本当によかったね。

・まだ他のレビューを読んでない段階だけど、おそらく『PK』というタイトルは、あの有名な『ET』を意識しているんだと思う。異邦人との邂逅、そして別れへという展開。ETも赤ちゃんエイリアンだし。PKと違って喋らないけどね。

「学んだのはウソ。教えてくれたのは愛の本当の意味」

・日本の作品に擬えるなら、星新一ショートショートを思い出した。娯楽として楽しめると同時に、痛烈に世間へ問題提起する感じ、個人的にけっこう好み。あと三谷幸喜の映画も。

 

 

ドツボにはまった一作でした。かなり熱く多弁に語ってしまった。

『Dangal』の王道スポコン&女性地位向上映画もいいけど、こっちもかなりいいなあ~。